あなたは、自分の思いを遠慮せずに相手に伝えることができますか?
あなたが、もし、病気や事故で何も言えなくなったとしたら、あなたの気持ちをどのようにして伝えますか?
元気なうちにあなたの希望を何かに記しておくこと。それが「事前指定書」です。
1987年、カナダの老年医療の先駆者William Molloy M.D.が提唱した運動「自分で決める自分の医療」。
病気や事故で自分の気持ちを伝えられなくなったとき「もし、回復の可能性があるならばこの様にしてほしい、もし、その可能性がないのならばこの様にしてほしい」と、
状況に応じて、自分に対する医療行為の基本的指針を栄養摂取方法、治療の程度、心肺蘇生術の有無などに関して、元気なうちに「事前指定書」に記載しておくものです。
但し、指定書を書くには大切な条件がいくつかあります。
服や車を選ぶ時さえ、私たちは自分の好みや必要性に応じて選びます。 まして、自分の命に関わる病気の時に、おまかせでなく自分自身の人生観や価値観に基づいた、納得できる選択をしたいものです。 「レット・ミー・ディサイド=自分で決める自分の医療」は、そのような本人の自由な意思が基本です。
| 意識がある場合 | 意識不明の場合 |
|---|---|
| 医師による治療の説明が行われ、あなたの希望を考慮したうえで治療が行われる。 | あなたが意識不明の状態では、希望を伝えることが出来ない。そうした時に、事前に作成された事前指定書の内容が治療する医師に伝えられる。 |
インフォームドコンセント![]() |
![]() |
『インフォームド・コンセント』とは・・・ “説明を理解したうえでの患者自身の選択”という意味です。
治療方針に対する希望は、自分としては耐えられない状況が予測される場合(回復不可能な状態)と、納得して生きて行ける状況が予測される場合(回復可能な状態)とに分けて考えます。
『回復』とは・・・「病気が治る」という意味ではなく、障害があっても「納得して生きていける」という意味です。
栄養補給の方法は4つあります。
| 基本栄養 | 基本的に口から補給 | 普通の食事(お粥、治療食を含む) |
|---|---|---|
| 補足栄養 | 基本的に口から補給 | 普通の食事+高カロリー補助食、ビタミン剤など |
| 経静脈栄養 | 管をつかって補給 | 直接、太い静脈に水分と栄養素を補給。完全非経口栄養(IVH)などがこれにあたる。 |
| 経管栄養 | 管をつかって補給 | 鼻から胃にチューブを使って栄養が送られる「鼻腔チューブ」と、腹部に穴を開け直接胃に栄養を補給する「胃ろうチューブ」の2種類が一般的。 |
ケアのレベルは4つあります。
心肺蘇生するかしないか決めておきます。
Q1.救急車で運ばれたとき、事前指定書を書いていれば絶対に希望どおりのなるの?
A.答えは「いいえ」です。
レット ミー ディサイドは、現在まだ法律化されているわけではありません。
そのため、救急医療機関に運ばれた時に、事前指定書が100%効果を発揮するとはいえません。
しかし、それでは「事前指定書を書いても無駄」なのかというと、そうではありません。
事前指定書を書くにあたり、代理人(家族・友人等)や主治医との話し合いが不可欠です。
この過程がしっかりしていれば、あなたに代わって、あなたの希望を治療担当医師にしっかりと告げることができるのです。
また、少なくとも、あなたがどのような考えを持ち、どのようなことを希望されている方なのかは、医療チームに伝えることができます。
Q2.「尊厳死」とはどう違うの?
A.「尊厳死」は、「不治の状態であり、死期が迫っていると診断された場合には、苦痛を和らげる処置のみを行い延命処置を行わない」という選択です。 それに対し、レットミーディサイドは尊厳死に限定せず、「尊厳生」つまり治療をやめないでほしいとの希望も存在します。 「尊厳死」はレットミーディサイドの選択肢のひとつです。
Q3.レットミーディサイドは当院だけでの活動なの?他にも取り入れている病院・施設等があるの?
A.熊本県でも運動が広がりつつあります。
ですが、あくまでも運動であり、「レットミーディサイド」をまったく知らないという病院・施設もあるでしょう。
Q4.事前指定書に「代理人」は必ず必要なの?
A.必要です。
「代理人」は意識のないあなたに代わって、あなたの意思を伝える人です。
事前指定書を作成するにあたって、家族や親しい友人など、代理人になる方とよく話し合い、あなたの希望を理解してもらう必要があります。
完成した事前指定書は、本人、代理人、かかりつけ医が保管します。
Q5.一度決めた事前指定書の内容は変えられないの?
A.答えは「いいえ」です。何度でも書き換えられます。
1年ごと、病気になった時、健康状態に変化があったときなど、いつでも見直しや変更が可能です。
Q6.「耐えられない状態から改善する」ということは、病気が治るということですか?
A.答えは「いいえ」です。
ここでいう『改善』とは、障害があったとしても「納得して生きていける」という意味です。
事前指定書には、自分にとっては耐えられない(納得して生きていけるとは思えない)状態を記しておきます。
その状態から脱することを『改善』と表現しています。
Q7.一旦胃ろうを作ったら、口からの食事は二度とできなくなりますか?
A.答えは「いいえ」です。
胃ろうを作った後も、食事嚥下訓練を行い、胃ろうを終了することができた方もいます。
つまり、胃ろうを作った原因の病気や状態によって異なります。